【ベタなギャグ】日本国民に告げる その2

 われわれは戦後の日本が経済的繁栄にうつつを抜かし、国の大本を忘れ、国民精神を失ひ、本を正さずして末に走り、その場しのぎと偽善に陥り、自ら魂の空白状態へ落ち込んでゆくのを見た。
 政治は矛盾の糊塗、自己の保身、権力慾、偽善にのみ捧げられ、国家百年の体計は外国に委ね、敗戦の汚辱は払拭されずにただごまかされ、日本人自ら日本の歴史と伝統を涜してゆくのを、歯噛みをしながら見ていなければならなかった。
 われわれは今や少数の有志にのみ、真の日本、真の日本人、真の武士の魂が残されているのを夢みた。
 法理論的には、日本の現状が違憲であるのは明白であり、国の根本問題が、御都合主義の法的解釈によつてごまかされ、日本人の魂の腐敗、道義の頒廃の根本原因をなして来ているにを見た。もつとも名誉を重んずべき法の正義が、もつとも悪質の欺瞞の下に放置されて来たのである。
 憲法は敗戦後の国家の不名誉な十字架を負ひつづけて来た。憲法は国法たりえず、建国の本義を与えられず、権力層の物理的に巨大なものとしての地位しか与えられず、その忠誠の対象も明確にされなかった。われわれは戦後のあまりに永い日本の眠りに憤った。
 少数の有志が目覚める時こそ、日本が目ざめる時だと信じた。少数の有志が自ら目ざめることはなしに、この眠れる日本が目ざめることはないのを信じた。
 憲法改正によって、建国の本義に立ち、憲法が真の国法となる日のために、国民として微力の限りを尽くすこと以上に大いなる責務はない、と信じた。
 われわれは、日本を日本の真姿に戻して、そこで死ぬのだ。生命尊重のみで、魂は死んでもよいのか。
 生命以上の価値なくして何の国家だ。今こそわれわれは生命尊重以上の価値の所在を諸君の目に見せてやる。
 それは自由でも民主主義でもない。日本だ。われわれの愛する歴史と伝統の国、日本だ。これを骨抜きにしてしまった憲法に体をぶつけて死ぬ奴はいないのか。
 もしいれば、今からでも共に起ち、共に死のう。われわれは至純の魂を持つ諸君が、一個の男子、真の武士として蘇えることを熱望する。

 元ネタ⇒三島由紀夫の檄
 今回はちょっと書き換えが多いけど、大した書き換えるだけでこんなものができるというべたなギャグでした。
 三島の主眼は自衛隊憲法と日本国家のアイデンティティにあった。が、基本の構図は、理想対現実における、正しいが空理と語られない現実変化の対立で、正しいが空理が過激な思想に転化すること。
 日本はあまり変わっていない。というか、この70年問題がさらに悪性になって広く日本を覆っている。
 まあ、歴史を学びましょうぜ。
 
追記
 参考⇒★★★ 日本再生ネットワーク 「ニュース保存用」 ★★★ : ◆【私の中の25年】三島由紀夫 果たし得ていない約束 恐るべき戦後民主主義

 二十五年間に希望を一つ一つ失って、もはや行き着く先が見えてしまったような今日では、その幾多の希望がいかに空疎で、いかに俗悪で、しかも希望に要したエネルギーがいかに厖大(ぼうだい)であったかに唖然とする。これだけのエネルギーを絶望に使っていたら、もう少しどうにかなっていたのではないか。
 私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。