朝日社説 イラク戦争5年―大失敗をどう克服するか : asahi.com:朝日新聞社説

 朝日新聞としてはこうした論になるのでしょうね。

 米軍兵士の死者は約4千人。イラク市民の死者は昨年6月までに15万人に達したはず、と世界保健機関(WHO)が推計結果を発表した。いま、それが何人に増えていることだろう。

 死者の死の原因をどう見るかによるけど、WHOが妥当なところかもしれない。医学誌によって数値がだいぶ違う。BMJがやや低めだった。

 失敗はイラク国内だけではない。9・11同時テロ直後にイスラム原理主義タリバーン政権を倒したアフガニスタンイラクに足をとられているうちにタリバーンが勢いを取り戻し、治安情勢が逆戻りしつつある。

 そこは論理飛躍というか、米軍を買いかぶりすぎ。NATOの問題が大きい。

 ここまで傷口を広げてしまった最大の理由は、米国が「敵」を間違えたことではなかったか。本来ならアラブ・イスラム世界の支持を得つつ、国際テロ組織アルカイダを孤立させ、追いつめなければならなかった。

 執筆子はサウジとイラクの関係を理解していないのかもしれないが、アラブ・イスラム世界は一枚板ではない。この単純化は米国と似たようなものになる。

 なのに、アルカイダとは関係のなかった旧フセイン体制を相手に、説得力を欠く戦争を起こしたことで、国際社会を分裂させ、穏健なイスラム教徒まで敵に回してしまった。

 結果的には朝日新聞の主張のようにこの対処でよかったとは言えないだろう。ただ、フセインはクエートを足がかりにサウジを狙いそこでアラブ世界での盟主たろうとはしていた。それがサウジ寄りのチェイニーを激怒させたというのが大きい。もちろん、この判断はとても難しいし、歴史のIFの領域にはなる。

 米国は、この大失敗から立ち直り、抜け出す道を見つけなければならない。今秋の大統領選挙での論戦がそのきっかけになることを期待したい。それには「敵」を間違えた誤りを直視し、何を本当の標的とすべきなのか、もう一度とらえ直すことから始めるべきだ。

 大統領選の実態は経済の問題の主眼になる。またイラク問題についてはマケインに利する流れになってきている。たぶん、そこは執筆子も理解してこの焦りがあるのだろう。現状として可能なのは、イラクの治安を維持しつつ、イラク以外に広がりつつある世界の危機(ダルフール危機)などに対処していく新しい世界観が必要になっている。