朝日社説 給油新法成立―禍根を残す自衛隊再派遣 : asahi.com:朝日新聞社説

 朝日の社説に私の感慨も近い。

 自民党の重鎮だった故後藤田正晴氏は、第1次湾岸戦争の際、当時の海部内閣が法律ではなく政令自衛隊機を海外派遣できるようにしたことを批判し、のちにこう回想した。
 「野党が『うん』と言わず、日本はできないとなったら、議会制民主主義のもとで、国民が反対しているものをやれますか、と外に向かって言えばいい」
 「やれないときはそれでいい。権道を歩くのではなく正道を歩むべきである」(『支える動かす 私の履歴書』)

 私もそう思う。
 あえて違うところもメモしておこう。

 福田首相は「これで国際責任が果たされる」とひと安心だろう。だが、日本の外交や自衛隊の将来を考えると、禍根を残す決着だったと言わねばならない。
 まず、これまでの法律にあった国会承認の規定が消えてしまったことだ。自衛隊の動かし方は国会が厳重にチェックする。これが文民統制の原則なのに、おろそかになる危険がある。
 派遣期限は1年間で、活動内容も給油・給水に絞った法案だから、これを可決すること自体が国会承認に等しい。そう政府は言う。でも、国会が重ねて吟味する意味は大きいはずだ。

 私は率直にいうと期限限定を1年とした政府は十分に信頼に足るだろうし、今回の事例で言えば「これを可決すること自体が国会承認に等しい」という政府は率直なもの言いだっただろう。もちろん、「国会が重ねて吟味する意味は大きい」のだが朝日のこの指摘はあまり実体的ではない。さらにいえば、国はお金で動くのだから、国会は軍のお金を止める権限を持つ。あれだけイラク派兵でブッシュに当たった米国だったがあの国会はそこでぶれなかったのを私は注視してきた。

 私たちも、テロをなくすための活動に日本も協力すべきだと考える。インド洋での給油も選択肢のひとつかもしれない。これを頭から「違憲」と決めつける小沢民主党代表の論法は乱暴にすぎる。

 私は小沢が正しいと考えている。給油活動は補給であり軍事支援だ。日本はその国家としてそこに関わるべきではないことは憲法前文に明記された理念であり、日本国民はそれを諸国民の信頼に委ねた。ということは、現実的には国連なりという筋は出てくる。絶対的な筋ではない。そこも小沢はわかっている。小沢はもう少し先を見ている。朝日新聞は中国様のホットラインがありそうだが、中国を信頼するということがどういうことをわかっていない。敢えて言えば阿諛追従するくらいのことしかできない。それではいけないし、その点において小沢のほうが朝日新聞より中国に信頼されている、と思う。