日経 春秋(8/10)

 まあそうひどくないのだが、漱石が読めてないなというか、漱石を祭り上げて逃げてしまっている。単文なのでしかたない面あるが。

1952年2月の初版からこれまでに158刷、累計627万部という数字は出版界で驚異的とされる。友情と裏切り、知識人の苦悩を扱った物語は、様々な読み方ができる。学生時代には「私」の視点で読み、年を経て手にしたときには「先生」の立場で読んでいる。涼しい緑陰の読書こそ夏の贅沢(ぜいたく)――。

 ちょっと嘆息。「こころ」は大きな問題だよ、50歳くらいでも。
 

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山本七平の日本の歴史〈上〉 (B選書): 山本 七平