李登輝、日本の子供たちに語る

  1. FujiSankei Business i. 国際/【日本の子供たちへ】(1)伝統の中に進取の精神
  2. FujiSankei Business i. 国際/【日本の子供たちへ】(2)いまこそ武士道が必要
  3. FujiSankei Business i. 国際/【日本の子供たちへ】(3)日本文化の形成とその特徴
  4. FujiSankei Business i. 国際/【日本の子供たちへ】(4)日本文化の形成とその特徴
  5. FujiSankei Business i. 国際/【日本の子供たちへ】(5)日本文化の形成とその特徴
  6. FujiSankei Business i. 国際/【日本の子供たちへ】(6)日本文化の形成とその特徴

(5)より

 質問 経済力の衰退で日本の将来が危ぶまれるといった発言をよく聞きますが。私たちはどう考えたらいいでしょうか。  
  日本人の中には、日本は悪くなると発言する人がいる。心配することはない。そういうのは言わしておけばいいんだ。少数派だ。テレビなどに出てくる人はああ言うんだ。本当は大多数の日本人はそうじゃない。
 日本人としてもっと自信をもつために(正統な)エリート教育を十分に受けなさい。幅広く諸外国の古典、歴史、哲学、芸術、科学、音楽を学んで、その上で国を愛しなさい。人民を愛しなさい。これが大事だ。

(4)より

 私はかつての日本のエリート教育を受けた。これによって35年かけて得た結論は、私は誰だという問いに対して、「私は私でない私」。「李登輝李登輝でない李登輝」だ。
 あなたの中に、また別の何かが、あなたの中にあるあなたなんだ。私の中にイエスキリストがある。李登輝李登輝ではない。
 この答えは私に正しい人生の価値観への理解を与えた。さまざまな問題に直面したときにも、自我の思想を徹底的に排除することで、客観的立場で正しい解決の方法を考えることができる。
 これが日本文化をもとに、日本教育を通して私に与えられた人生の結論だ。これによって、私の一生涯は国(台湾)のために自分を投げ出した。それ以外にほかのものは何もない。