日経 春秋(11/14) : NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

 些細な悪口みたいな話になるが(そういう意図ではないが)。

 「細い螺旋(らせん)階を昇りつめると頂上の孤独な丸い小部屋に、灯台の光源がひっそりと住(すま)っていた」(『潮騒』)。伊勢湾の入り口の小島で繰り広げる若者の牧歌的な恋物語のなかで三島由紀夫は岬にたたずむ灯台をそんな風に描いている。

 三島由紀夫というと美文家のような先入観があるのだけど、よく読むとけっこうな悪文だなと思う、というか、歳を取るにつれて、もしかして三島って文学的な才能はなかったのではないかとかすら思うようになる。ま、そこまで言うのはアレだが。この文章も。

細い螺旋階を昇りつめると頂上の孤独な丸い小部屋に、灯台の光源がひっそりと住っていた。

 これ、川端のヘタなパロディみたいな感じがする。
 あまり言うのもなんだが、「潮騒」はけっこう笑える悪文のアンソロジーのような感じがしている。