産経社説 読書週間 本を読んで心を肥やそう

 心を肥やしても、この社説の執筆子になる程度。
 昨日これを書いた⇒finalventの日記 - そういえば私が高校生くらいのころ知的な子は
 脊髄反射的な反発があるかなと思ったがそうでもないようだ。まあ、どうでもいいネタというか、どうでもいい話ではある。
 80年代において非知は積極的な価値になった。E.H. カーなんか70年代は知的な階層は高校生でも普通に読んでいた。今考えればたしかに馬鹿げた世界だった。そして、E.H. カーを今頃マジで薦める馬鹿すらいる。だが、そんな馬鹿も必要なのかもしれない。
 勉強もしないで小利口なぶくまコメントを書いたりエントリを書いたりする、そういう才気みたいなものが、80年代から90年代にかけて賞賛された。趣味というかテイストというか、食とか車とかの品評でも洒落た情緒で書けばよいかのような脱知識化も是認された。
 そして本当に馬鹿が増えた。
 馬鹿で何が悪い。
 小谷野敦は親切だから懇切なガイドブックまで書いてしまった。

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バカのための読書術: 小谷野 敦
 しかたがない。
 ところで。
 史学というのは中にいる人は外の世界は変なものだと言うが、中にいる人は実は大きなコンプレックスを抱えている。史学というのは、地味な文献読みが基本であり、それは、基本的にはラテン語ギリシア語の学習を通じて、その方法論を学び取る。そこが日本の史学者にはほとんどできない。
 日本だと日本の古文書などがあり、江戸からの伝統もあるので、なんとく代替にしている。しかし、それは欺瞞なのだ。史学というのはその方法論は基本的に西洋の学問なのだから。