日経社説 ようこそ、新人諸君

 笑えるっていうか泣けるっていうか笑えるっていうか以下略。

 恋をしたことがあるだろうか。恋愛は結果を問わず人を成長させる。しかし「成長するために、恋するのは、恋愛ではなく恋愛の実験である」「成長の目的が意識にあるかぎり、その恋愛の経験は根底に徹することができない」。戦前の若者が競って手にした哲学書「三太郎の日記」の一節だ。実感として理解できると思う。恋愛に限らず、「私たちは成長の目的を意識せずとも、すべて与えられたる経験に深入りすることによって成長(事実上)する」と著者、阿部次郎は説く。
 仕事もまたしかり。人はなぜ働くのか。壁にぶつかり、疑問に悩む日が遠からず来るかもしれない。豊かさの中で生まれ育った世代には、親たちと異なり「郊外・庭付き一戸建ての購入」のような自明な答えはない。目の前の仕事に思い切って浸り、まず人間として成長してほしい。広がった視界の先に、自分なりの働く意味が、きっと姿を現すはずだ。

 思わず、●ね、と言いたくなるような。
 ところで、「三太郎の日記」は「フジ三太郎旅日記」ではないです。「三太郎の日記―合本: 本」とかのほう。哲学書っていうほどではないというか、学徒動員時代の学生の空気を知る本というくらいか。私も実家にあるというか読んだわけだが、引用にあるように面白い本でもない。