日経春秋

 ⇒春秋(1/28)

今年と同じ丙戌(ひのえいぬ)生まれの綱吉が高僧から「前世の罪滅ぼしに、生類特に干支(えと)の犬を大切にしなさい」と助言され、奇怪な政策をまじめに行った。いまだに目にするこの説は史学界では否定済みらしい。山室恭子著『黄門さまと犬公方』によれば「妄説として、ゴミ箱行きにしてよかろう」。▼通説の見直しは近年、綱吉自身に及び「中央集権化政策を導入した卓越した君主」(ボダルト=ベイリー著『ケンペルと徳川綱吉』)、「社会の文明化を推進した理想主義者ではあるが小心の専制君主」(塚本学著『徳川綱吉』)という具合だ。この観点からは、憐れみの令は「戦国時代の名残のすさんだ風潮を一掃し武士、町人に仁の心を求めた教化政策」になる。

 昔からそうなんだけどね。