そういえばダルフール問題…

 最近あまりこの話題に触れていません。関心は継続してもっているので、主要なニュースはぶくまにクリップしています。
 この問題に一年以上関わって…いろいろ思うのだけど、この分野は、継続的に情報を累積していることもあり、英米紙での社説などでの扱いも理解しやすい。逆に彼らの社説を理解するにはかなりの背景知識が必要とされるというのはありますね。こういうとなんだけど、Foreign Affairsなんかのほうが特化していて分野によっては読みやすい。
 くさしではないけど、たとえば最近みかけたJANJANのこれ
 ⇒世界・かろうじて人々の記憶にとどまるダルフール危機
 たぶん、これを掲載している人々や読んでいる人も、この記事の意味がわかってないのだろうなと思うのですよ、そういう言い方はちょっといけないのですが。
 JANJANみたいななまっちょろい心情左派のような政治思想ではすでに現在世界についてけるわけがないというほころびの例になってしまっている。
 たとえば、

134の加盟組織(全米の総計1億3000万人が所属)を束ねる「ダルフールを救え!連合」のコーディネーター、デイビッドEルーベンスタインは、「ブッシュ大統領ダルフールの事件を大量虐殺と認定してから1年、私たちは、大統領に対して、ダルフールの罪なき市民を傷つけている暴力を終わらせるために決定的で効果的な行動を取るよう求める」と宣言した。

 この意味を単純にブッシュ批判のつもりでいるのではないですか。
 これは、逆ですよ、NATO軍を投入せよという含みがあります。
 8日付ワシントンポストNegotiating With Genocide

What about supplementing African Union troops with NATO ones? To be sure, NATO resources are stretched thin by Iraq and Afghanistan, and Western leaders are tempted to regard Sudan as marginal to their interests. But NATO was born -- indeed, the idea of "the West" was born -- out of the ashes of Hitler's genocide. If it refuses to fight the modern echoes of that barbarism, what does the West stand for?

 日本だと、放言してしまいますが、ヒットラーだの独裁だのが低能なレベルでの修辞にしかなっていない。しかし、本当はこういう文脈で使われ問われなくてはいけない。
 ヒットラーに反対するというなら、現在この時間に進行しているジェノサイドを止めるにはどうしたらいいかと問うべきなのです。小泉を独裁者に見立て、STOP THE KOIZUMIなんて愚劣な洒落でしかない。
 でも、非戦闘員としてイラク復興に貢献している自衛隊にですら、日本の世論は、端的に言えば酷いものです。このワシントンポストのストレートな意見に耐えられるわけはない。
 もちろん、これを日本語でブリーフィングすることの意味はあるけど、たぶん、そういう意見もあるのね、ということで浮いて終わるでしょう。
 むしろ、問われているのは、知識ではなく、それをもう一度自分の置かれたコンテストで自分の言葉で問い返すことなわけですが…ま、自分にできるのはその微々たる部分だけです。