アグネスチャンのダルフール紀行見ましたよ

 正確には「BSドキュメンタリー 世界が忘れた戦場 〜アグネス・チャン スーダンからの報告」
 感想はあまり言いたくない。全否定はできない。貴重なドキュメンタリーであることはたしか。そこは評価できる。
 つまり、レベルはそれほど低くない。
 気になったのは、インテリジェントなスタッフが別にいるのではなく、どうも現場はアグネスが仕切っているげであった。なさけない。
 その分、彼女のイデオロギーというか日本のユニセフイデオロギーが入っているのだろうとも思った。
 あー、しかし、少し言うけど、ダルフール危機って、自然災害ではないのだよ。ある日訪れた不幸といったものではない。
 番組もちゃんと細部を見ればわかるように、ジャンジャウィードが来る前にヘリコプターで民衆を襲撃している。ヘリだよ。んなもの民兵が持つか。組織的な軍の関与以外でもない。どこの軍? スーダン政府じゃん。
 つまり、ただのスーダン政府の民衆虐殺じゃん。
 もちろん、反乱軍SLAはいる。
 で、SLAは実質ダルフール危機にどれだけ関与したか。番組は喧嘩両成敗の構図を誘導していたが、NHK馬鹿じゃないの。
 治安の悪い独裁国家に反乱組織などどこでもいるよ。ネパールなんかひどいもの。それがこのダルフール危機のスケールと併せて常識的に考えてみれば、事実上捨象できるレベルに近い。
 NHKは、SLAをことさらに映像化していたが、彼らやっていることは村の防御じゃん。というか、当然のことではないか。
 あー、私はSLAを支援などしないし、ダルフール危機に内戦の構図もあることはわかるよ。
 でも、それは本質じゃない。
 本質は、スーダン政府による民衆虐殺ということ。そこを伝えないわけだ。
 そこを伝えないとどうして国際法廷とかの話になっているのかわからんのではないか。というか、国際法廷の話もあまり日本では報道されない。
 現状、AU(アフリカ連合)は対応できていない。
 じゃ、どうするのか。スーダン政府をもっと早い段階で圧力を加えるべきだった。
 それを骨抜きにした最大の要素はといえば、中国じゃん。
 英国籍中国系日本人アグネスとしてはそこをどう考えたのでしょうか。「むずかしくて、わからない」ですむことかね。
 もちろん、次の要因は米国。メリットにならないことにはおよび腰だったのだ。