今日の新聞各紙社説は…

 主要なテーマは、社会保険庁とJR西。後者は率直に言って、つき合い切れん。
 社会保険庁の問題は、どうも、新聞主張と政治家だろうか、なにか利害の関係がありそうな匂いを感じる。
 日経の言うところの識者はこれをどう論じるというのだろうか。

●日経社説 年金の設計は少子を前提に

 もはや国内ではあまり話題にならない。というか、しかたないじゃーん、というあたりで落ち着いた。
 が、今回の件でも海外ニュースは着目していたみたいだ。

●日経社説 「有識者」の見識を疑う社保庁改革案

 ほぉ、そう来たか。
 ま、それはそれとして、じゃ、どうしろと。

●産経社説 JR西安全計画 「いばらの道」歩む覚悟を

 なんか素っ頓狂な話になっているなと思う。
 ところでまた言葉にこだわるのだが、「いばらの道」というのの語源がわからない。聖書ではないと思う(そっちは「茨の冠」)。こちらだと思う。

ふけい 0 【負▼荊】
〔「史記(廉頗藺相如伝)」から。罪人を打つイバラの杖(荊)を自ら背負う意〕深く謝罪すること。
「肉袒(にくたん)―」「―の下に其の咎を免(ゆる)さるれば/太平記 28」

 おそらく正用法では、「茨を負う」であろう。
 これが「茨を負っていく人生=道」と変化したのではないか。
 この変化はどこで起きたのだろうか。

●産経社説 東シナ海ガス田 身勝手すぎる中国の提案

 これは産経のこの言い分は正しい。と、いうだけのことだが。

●毎日社説 社保庁改革 終わりではなく始まりだ

 社説としては妥当か。
 まじな解決策はこれか?

 最終報告や自民党案では無視されているが、国税庁と年金徴収部門の統合による「歳入庁」も重要な選択肢として加えるべきではないか。

●毎日社説 クールビズ おしゃれも楽しむチャンス

 なんだこれ。
 普段着で公務をすればとんでもない弊害が起こるだろうくらいの常識でも書いたらどうか。
 ところで、この話ロイターでは、Oddly Enough Articleとして扱われている。
 ⇒Oddly Enough Article | Reuters.co.uk

●読売社説  [日中ガス田協議]「海洋権益を損なってはならない」

 日本政府は、4月に日中中間線近くの日本側の試掘権を民間業者に付与する手続きを開始した。協議が進展せず、もし中国の一方的な開発が続くようなら、必要な対応を粛々と取らねばならない。

 「粛々と」という言葉に酔っているんじゃないか。外交なんて騙し合いみたいな部分もある。妥協もある。リザルトが全てだ。
 ついでに。この「粛々と」の用法はちょっと日本語じゃない感じがする。

しゅくしゅく 0 【粛粛】
(ト/タル)[文]形動タリ
(1)しずかなさま。ひっそりとしているさま。
「鞭声は―と夜河を過(わた)りぬれば/山陽詩鈔」
(2)おごそかなさま。
師範学校の方は―として進行を始めた/坊っちゃん漱石)」

 (1)ひっそりとではない。(2)おごそかにではない。
 たぶん、言いたいのは、中国の言い分を雑音と見なして、やるべき事だけ我が道を行くとでもいったことではないか。
 こういう心根に日本語の心が荒れているように思う。

●朝日社説 JR安全計画 墓前に伝えられるか

 これって、太平洋戦争時、日本がぼろぼろになりつつ、英霊にむかってそんなことが言えるのか、とか、言ってたのと同じ。こういうメンタリティをやめにしたいものだ。

●朝日社説 社保庁改革 これで出直しとは

 社会保険庁の批判はたやすい。問題は、じゃ、どうするかなのだが、以下は、主張がばらけている。というか、作文レベルで推敲されていないのではないか。

 とはいえ、年金の業務をすべて国でおこなう必要はない。国の仕事は年金額の決定や保険料の徴収にとどめるべきだ。年金の支給や相談などの部門は役所から切り離し、民間にまかせればいい。その方が効率的な仕事が期待できる。
 そうした改革に手をつけるとともに、政府・与党は歳入庁の構想も進めるべきだ。厚労省財務省は、保険料と税金とは性格が違うといって、消極的だ。しかし、徴収するという仕事は同じである。欧米では徴収部門がいっしょになっている国は珍しくない。