ざっと読みましたよ、これ

 ⇒「パンツを脱いだサル―ヒトは、どうして生きていくのか」
 前半の水生動物説は、まぁ、これもありかなとは思う。喉頭についても、そんなことかなとは思う。どうでもいいけど、ちゃんと編集が入ればきちんとした話になっただろう、この部分は。
 中間のカザールは、これは、なんというか、ちょっといただけない。全面的に間違っているとも言わないが、いずれにせよ、「ユダヤ人とは誰か―第十三支族・カザール王国の謎」を越えていない。というか悪しきバージョンという感じがする。
 その後のユダヤ人論あたりも、ちょっとまいった。貨幣・金融論と実際の金融資本と国家の関係が意図的にかごちゃごちゃになっている。とはいえ、栗本にこう書かせたくなるなにかというのは歴史にほの見えるものはあるにはある。しかし…。
 ビートルズ云々はこれも「メディア・セックス」あたりの話のごった煮。
 話を絞るべきだったし、ユダヤ云々は書く必要はなかったと思う。
 ヒトの状況がどのように国家と超国家支配集団と貨幣を生み出すかということに絞るべきだった。
 そして、それとは別に近代西欧における金融資本の成立と、その後の継承は丹念に結社の歴史としてみるべきだった。
 栗本さん、元気になってよかったねとは言いたいが、まいったな、とも思う。
 書籍として見れば、残念ながら、ゴミである。でも、私は、大切にするだろうとは思う。