今日の新聞各紙社説は…

 主眼の一つは銀行の不良債権終結ということ。ま、率直に言えば、ひどい時代だったなと思う。そうするしかなかったのか…といえば、いろいろ思いが湧くが虚しいには虚しい。結局のところ、国税をあきれるほど注ぎ込んだ。日本国民は諾とした、なぜなのか。
 デフレ下であり、実質金利を見れば、庶民の暮らしがきびしくなったものでもない、というのは言えるのかもしれない。私は、自分の人生実感では、そうした見解が受け入れがたい。昭和32年に生まれた私の父母たちは、この時代、わずかなサラリーを工面し銀行預金をベースに将来設計をしていた。金融のプロから見れば失笑されるほどの愚者である。でも、それが大衆だった。何が言いたい? そうして、父母たちは未来を設計した。トリックのような金利だったかもしれないが、その金利で未来を構想した。単純に言おう、貯金をしたのだよ。国民が、きちんと貯金をして、生きようとしたことが、結果的には愚かにも国を利したわけだが、国を支えもした。官僚も相も変わらぬとはいえ、国を支えていたようには思う。それが、金利ゼロで消えた。
 言うほど愚かだ、私は、と思うよ。
 もう一つ、日露戦争開戦記念とか。これは日本大衆の愚かさの歴史だと思う。と言いつつ、お前さんは大衆をどう見ているのかと問われそうだ。
 国威をどうこういう馬鹿どもに大衆が踊らされていたのか。そういう面もある。
 ただ、俺は、本当のところで、踊らされていたとは思わないし、その痛みをきちんと大衆の無意識にきざんだとも思う。中国や韓国がどんなに鉄面皮で日本が軍国主義の道を歩んでいるみたいに批判しても、私は、テメーらになめられるほど日本国民は愚かではないと信じている。日本大衆は絶対に戦争はしない。そこが信じられないふりをして政治をする君たちが問題だよと思っている。

●日経社説 「ラミーWTO」への期待

 なんだこの社説? マジなのか。WTOなんて使える? ま、使えるからヨイショか。これって日経の思惑は深いのか。

●日経社説 核拡散防止体制の前途を憂える

 結局NPTに直接触れたのは日経だけなのかというところでちょっと感慨深い。
 日本の左翼っていうか平和勢力っていうか反核ってなんなの、とか思うが、ま、この枠組みでも米国を責めているならいいのだろうか、呑気なこった。

 会議は27日に閉幕するが、決裂の要因は突き詰めると、米国対イラン、エジプトの対立にある。北朝鮮はNPT脱退を宣言しており、会議には参加していない。
 米国は北朝鮮、イランの核開発阻止を最優先課題と位置づけた。これにイランが猛反発、さらにエジプトが米国は核軍縮への取り組みがおろそかになっているどころか新たな核兵器開発を進めようとしていると批判、非保有国の多くの支持を得た。

 ま、それはそうだ、という線は抑えておく。
 ちょっと言葉につまる。

●産経社説 中国副首相問題 幕引きは先送りに過ぎぬ

 世界の空気を嫁。

●産経社説 不良債権終結 まず預金者への恩返しを

 率直に言うと、私はこれけっこういいと思ってますよ。

 忘れてもらっては困るのは、銀行が体力を回復するために、犠牲にしてきた人たちのことである。
 いわゆる「貸し渋り」や「貸しはがし」の対象になった中小企業もそうだし、何より銀行の資金調達コスト軽減に貢献した日銀のゼロ金利政策の下、ほとんど金利のつかない状況で長年我慢を強いられたのは預金者だ。

 ま、まいどまいどのことで、おめーさん「実質金利」がわかってないじゃんとか突っ込まれるか、だが、さすがに、私の頭の悪さに呆れられているのではないか。
 ま、いろいろ理屈は付くだろう。
 大きく言えば、それが、庶民って馬鹿だなに集約されるなら、俺はまだ馬鹿でいる必要があると思っている。

●毎日社説 大手行3月決算 攻めの経営はサービス競争で

 出だしを読んでやなかんじー。

 大手銀行の2005年3月期の決算発表が終わった。ようやく不良債権問題が片付いた。それが最大のポイントだ。

 と思ったらなんか予想を裏切られて凡庸な展開で終わり。え?

●毎日社説 イラン核疑惑 欧州との協調で全面解決を

 これを書いてしまう政治センスがわからない。
 欧州は潰れるでしょ、じゃ、日本はどうするのというインサイトのかけらもないように見える。阿呆か、と書きたいほど。

●読売社説 [日本海海戦]「歴史の潮目を変えた海戦だった」

 日露戦争とこの海戦は別のものではないが一体でもない。日露戦争から今学ぶべき事は日本大衆の愚かさ。

 小説「坂の上の雲」で、日露戦争を戦った明治の群像を生き生きと描いた作家の司馬遼太郎は、「日露戦争の勝利が、日本国と日本人を調子狂いにさせた」と表現し、日本社会から合理的判断力が失われていったとの見方を示している。

●読売社説 [米国産牛肉]「輸入再開の条件は整っている」

 こういう役回りをしている読売はそれなりに評価すべきだろう。

 OIEの決定は、加盟国に対する拘束力はないが、世界貿易機関WTO)での紛争処理の判断基準になりうる。日本が牛肉の輸入許可に当たって月齢を条件とすること自体が、提訴された場合、問題になる可能性もあるということだ。

 んなの当たり前なんだが…。

●朝日社説 人工心臓 新しい芽を育てたい

 善意のようなものがあれば文章は散漫でよろし、みたいなお作文。
 現実的には、人工心臓のようなものは日本だけで閉じるものではない。執筆者は社内外の専門家に取材してもよかったのではないか。

●朝日社説 不良債権 半減宣言はいいけれど

 なにかいつまでも銀行に文句を言いづけたいのだろう。

 多くの大手行にとって、次の課題は公的資金を完済することだ。このままの調子なら遠からず返し終えそうだが、それでことが済むわけではない。

将来、同じ間違いを繰り返さないためには、「失敗の原因」を検証した報告書を作ったらどうか。学者たちの研究は始まっているとはいえ、当事者が記録を残すことは後世への責任だろう。

 こういう心の動きにちょっと変なものを感じる。
 公的資金が完済されれば、一つの時代が終わる。あるいはようやく地方の問題に移る。後ろを向くのではなく、やるべきことはまだあるのだ。