今日の新聞各紙社説は…

 橋梁談合問題がテーマ。朝日社説のコメントにも書いたが、これだけ裾野の広い事件なので、新聞記者が知らないというならお恥ずかしいし、知っていたならバックレすぎ。という勧進帳でもある。
 基本的にこの問題は不正というより、そういう社会構造が変わったよシグナルなのだから、新しいルールを考えていくほうがいい。
 日中問題というか、呉儀副首相のトンズラだが、ちゃんと経済界には面子を通しているのだから、それでいいのではないか。

●日経社説 日中の関係悪化に歯止めを

 毎日社説とほぼ同。

●日経社説 橋梁談合は発注者にも説明責任がある

 そう来たか。というか、その発想はごく普通でもあろう。というか、ちょっとこの社説はててて感が感じられる。

道路公団発注の工事では、年間の平均落札率が、談合の存在をうかがわせる「ほぼ100%」になっていたことがある。そんなことが続いていて、一体、発注側の行政官庁や公団は談合に気づかなかったのだろうか。

 気が付いていたでしょ、日経だって気が付いていたもん、とはあからさまに書けない。

●産経社説 橋梁談合事件 過去の“遺物”徹底解明を

 なんか朝日と似ているなと思う。

●産経社説 中国副首相帰国 目にしたくなかった動き

 産経っぽい。社説になっているかと言えば、びみょ〜。愚痴っているより前向きに考えたほうがいい。米国議会の阿呆どもが中国バッシングを初めてもしょーもないので、その備えでも考えるほうが日本はマシ。

●毎日社説 鋼鉄製橋梁談合 改正独禁法を再改正しよう

 先日の大学の先生内田さん(私はこの人よく知らないのだが)が40代はデタッチメントとして、そして「誰が悪いか」と問う無責任世代と曰ったが、それに対して当の40代の私は、いやいや「何が悪いのか」とシステム的に考えますよ、とちょいとこの日記に書いた。という視点が、この毎日の社説に近い。筆者は40代だろうか。
 いずれにせよ、システムを変えるべきだは賛成。
 だが。

 業界のみならず役所、経済団体、与党にも、談合は悪という意識は薄い。来年1月の、弱過ぎる改正独禁法施行後も談合は続くだろう。そうした風土を変えるために、さらなる独禁法強化、公取委の体制強化を急ぐべきだ。

 その体制強化は可能だろうか。

●毎日社説 日中関係 これ以上冷やしてはならない

 標題といい内容といい、支離滅裂とまでは言わないが、呉儀副首相のトンズラにこんな話題を持ち出すことはない。ただの中国内部の政争なんだからほっとけ。

●読売社説 [民主審議拒否]「色あせる『政権準備党』の看板」

 これは基本的に賛成。民主党がなに考えているのか私にはわからない。対案をきちんと出しているのだろうか。それを私が知らないだけだろうか(そうかもしれない)。

●読売社説 [橋梁談合事件]「『官』とのなれ合いはなかったか」

 朝日の同テーマに加えて言うことはない。読売も同じ。処罰をまず掲げないだけマシ。

●朝日社説 郵政国会 熱い論戦が聞きたい

 これはダメならぬタメ。大した結論が出るわけでもないのだから、取り敢えず今の法案を通して前に進めること。論戦などを熱くしても、停滞させるだけ、というか、この件における社民・民社みたいな雑音にしからない。表向きは民主の一部へのエールなのだろうが。

法案はすでに反対派との妥協で、郵貯・保険会社の全株売却が玉虫色になるなど、骨抜きが進んだ。このうえに反対派の意をくむ形で修正すれば、民営化の理念からさらに遠ざかってしまう。首相はいまの法案をこれ以上なし崩しに変えない決意を明確に示すべきだ。

 これは嘘くさい。小泉はよく頑張って、最後のところで骨を抜いていない。だからこれだけ抵抗に遭うのだ。

●朝日社説 橋梁談合 ペナルティーが軽すぎる

 この問題はちょっと苦い感じがする。朝日はこんなふうにラッパを吹く…

 ここは課徴金を思い切って引き上げて、罰則をさらに重くするほかない。談合がばれたら、会社がつぶれるぐらいの痛い目にあうルールが必要だ。

 しかし、(1)この事件の規模は大きく裾野は広い、ということは事実上公認されていた社会構造というもがあり、今回の事件は事件というよりこの特定の社会構造の変化だろう、(2)それほど裾野が広ければ新聞記者が知らないわけもなく、朝日の社説は事実上それを報道しない罪を共有しているので嘘くさい(知らないというならマヌケ過ぎ)。