今日の新聞各紙社説は…

 読み手の私の気分も問題もあるのだろうが、倫理の言説が空回りしているだけの社説が多いと思った。困ったことがあるとき、偉そうに怒鳴るより、知恵の一つも絞りなはれ、と私は思う。
 現実がある。現実はシステム的に動く。どっかに悪玉なりの意思が制御しているものでもないし(もちろん、日本社会に悪玉は存在する)、小悪の総意がトラブルを起こしているものでもない。なら、そのシステムの誤動作をどうフィードバック制御するかと考えるほうがいい。
 というか、新聞の社説は、あるノスタルジックな倫理の演出に堕してきている。
 個別には、産経の台湾WHO提言が重要だと思う。

●日経社説 経営責任の明示が企業を律する

 経営責任の明示というのと、道徳たれました、というのは違う。

経営責任をきちんと取れるように改めなければならない。そうした改革を進めるのも経営者の責任である。

 これが締めの文章なのだから、orz
 単純にコーポレート・ガバナンスの問題でしょ(外的な評価システム)。

●産経社説 カネボウ 上場廃止を再起のばねに

 とくにどってことない。なぜ社説が他紙に遅れたのかなとは思うが。

●産経社説 台湾のWHO参加 中国の善意が試される時

 この問題は元来政治の問題ではない。が結果的に政治の問題でもあろう。と矛盾するようだが、とにかく台湾人2000万人をWHOの蚊帳の外に置くべきではない。

●毎日社説 候補者人材難 公募制は政治家の質向上に欠かせない

 面白い社説だが、ある意味ファンタジーなのでそれに見合うユーモアを込めた方がいい。なんかオイ、マジになるなとか突っ込みたくなる。

●読売社説 [鉄道事故]「安全への教訓をどう生かすか」

 ちょっとパスしたい。話のベースで共感できない。

●読売社説 [証取法改正]「議員修正でよみがえった課徴金」

 個人的には勇み足の制度改革のように思う。
 なんとなく世間では西武は悪い・堤は悪いということになったが、堤にしてみれば、実は得心のいくものでもないだろう。世間のルールが変わるという世間を理解しえなかった。と、いうのもだが、そうしたルールと倫理の問題というより、西武というが実質日本経済の宿痾となりつつあることを国家経済側が嫌ったというものではないか。倫理的なルールの問題というより、一種のバブル処理の一環に思える。とすれば、そこに力点の強弱はあるべきにも思う(規模に見合った運営の裁量が必要でしょう)。

●朝日社説 政管健保 県ごとの再編を急げ

 話の重要性がわからない。医師会批判ということなのだろうか。

●朝日社説 ウズベク騒乱 強権政治が招いた流血

 ウズベク騒乱は欧米メディア側からもあまり情報が入らない。朝日のこの社説はそうした情報の無さの上にあり、繰り返し読むに内容もない。