マイニュース:動物園【神奈川県】

【生扉・偽GJニュース 03月28日 神奈川県】 3月26日、桜が咲いているころだろうと来日してきた親戚の者だが開花はまだまだ。しかたがないので多摩動物公園につれていった。時折冷たい風が吹くものの、生暖かい陽射しの降り注ぐ春の一日、カネのある人なら愛知万博に行っていることもあり、動物園は閑散とは言えないまでも人出は少なく、その人の多くも花粉症予防マスクをしていた。
 多摩動物公園内は無意味に広く、しかも園内バスに乗ると動物も見えない山野を無駄に巡るだけなので、ゲートを過ぎるやアフリカ園をめざして坂を上ることにした。道にはけんけん遊びの絵なども描いてあるので、ついつられて遊んでいると冷ややかな視線をあびていることに気が付く。
 アフリカ園についたものの、さて何をどこから見ていいのかと戸惑っていると、園の係なのかボランティアなのかユニフォームを着たご老人がやってきて、「象園では赤ちゃん象がいるからぜひ見て行きなさい」と勧める。余計なお世話だと答えようものなら、小一時間問い詰められそうな気迫だ。
 途中、つまらなそうにしているライオンを遠目に見ながら、飽食の生活では野生を維持することは難しいと思う。動物の見栄えを改善したという北海道の動物園のことも連想したが、目前でカモシカの内臓をひきちぎって食う威勢のいい雌ライオンが見たいかというとそうでもない。
 一時が万事そのようなものである。ワクワクさせるような夢を期待しても現実にそれを実践する気概もない。私もこの沈滞した日本の国民なのだ。とうつむいた瞬間にくしゃみをした。ついに花粉症になったのかもしれないと不安になる。こうした日常の不安を抱えながらも、一歩一歩よりよい日本社会のありかたを模索していなくてはならない。【了】
生扉 非公認パブリック・ジャーナリスト finalvent