がんと心
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この本の対談という性格からこの本の問題ではないというのはわかるのだし、また、岸本が告知時にはショックは少なかったというのはわからないでもない。が、総じていえば告知時のショックは大きいし、その後も大きい、それにどうプラクティカルに対応できるかみたいな手引き、あるいはその代替でも、ならないものかと思う。
ノーマン・カズンズが日本ではあまり評価されないので、あの方向も無理なのかもしれないが。
この本は極東ブログで扱うか悩んだのだが、ちょっとエントリにはしづらい。
もっとも、この分野の知識を自分がある程度持っているというバイアスからかもしれないので、その意味では広く勧めたい本ではあるのだが…。
個別にこの本で印象深かったのは、キューブラ・ロスとの関連もあるのだが、死後の生の問題だ。対談ではなんとなくそれが信じられないというあたりで曖昧になっている。しかし、この問題はかなりやっかいだ。というのは、近代人は通常死後の生を信じることはない。が、死後の地球なり子孫なりの幸福を願っている。死によって自分がまったく無になるなら、そうことはありえないわけで、こっそりと近代的な形で死後の生の意味づけを行っている。