ちょっとだけ資本論…

 気のせいか、いまだに若い人で「資本論」を読もうとしている人がいるみたいだが、なんつうか、やめとけとまでは言えないか。どうせ読んでもわかんないと思うのだが。と、それは知力の問題とか、向坂訳とかの問題以前に、あれ、編纂途中の代物というか、ハイデガーの「存在と時間」みたいに中途半端なもので、なんつうか、こういうとうんこがとんでくるかもしれないが、基本的に、マルクスっていうのは、アダムスミスから始まる経済学とヘーゲル的なドイツ哲学の枠組みからあまり出ていない。もちろん、そこから森嶋みたいなモデルもできるのだけど、それほどどうという理論でもない(と数理経済に詳しくもない私がいうのはいかんのだが、サミュエルソンなんかあっさり切り捨てている)。
 むしろ、ヘーゲル哲学的な伝統をどうやってスミス、リカルド的な世界に接合したのか、また、その基本概念の洗い出しと、資本論の本来構想などの視点から、なんというかある程度、偏見を元に読んだほうがいいと思うが…。
 うーむ、と言ってもしかたないか。