久石譲

 が好きだ。プレゼントにもらったピアノ曲をぼんやり聞きながら、やはりこの人は坂本龍一より根がフォルマリズムだなという感じがする。坂本はある程度意図的に情感を出しているしそのアレンジもニューヨーカー好みの洒落た感じもあるが、こういうとなんだが、存在の深みがなにかない。久石のフォルマリズムはまさに存在への意志を感じる。
 一連のジブリもののBGMでも、彼は、どういう情感で作るとか訊かれて、けっこう理論通りに作りますとか言っていた。そうなんだろうと思う。ジブリ関係のは映画らしいリリックがあるが、そのリリックは存在の意志のようなフォルムに統制されている。それは情感を縛るものではなく、情感を存在に向けて越えさせようとするなにかだ。rigorousと言ってもいいのかもしれない。