美浜原発事故:配管破損、腐食が原因か

 また、技術評論家の桜井淳さんによると、破損した「復水管」の材質の炭素鋼はステンレスなどに比べて腐食が進みやすく、「減肉」が生じやすい。桜井さんは「点検が行き届かず、事故の兆候を見つけることができなかったのだろう」と指摘した。

 事故の背景には、定期検査の期間を短縮して原発稼働率を上げようという経済性重視の考えがあるとする意見もある。
 死傷した作業員は14日から始まる予定だった定期検査の準備中だった。NPO(非営利組織)「原子力資料情報室」の伴英幸・共同代表は「検査期間を短縮し、原発稼働率を上げるため、通常運転中に、あらかじめ準備できる作業をさせていたのだろう。安全性より経済性に軸足を置く電力会社の姿勢の表れで、原発のあり方が問われる」と指摘する。

 吉岡教授は「背景には施設の老朽化もあるのではないか。原発の補修をどうするかについて、抜本的見直しが迫られている。稼働30年以上の原発を徹底的に検査することが必要だろう」と話している。

 米国では86年、バージニア州のサリー原発2号機(加圧水型、出力77.5万キロワット)で同様の事故が起きた。美浜原発と同じく、タービンを回した熱水を再び蒸気発生器に戻す途中の配管(直径約46センチ)が破断し、蒸気を浴びた作業員4人が死亡した。関電によると、この事故は配管が曲がった部分で起きた。水流で管が摩耗して内側から薄くなる「減肉」が原因だった。日本でも問題となり、電力各社は「自主点検」と位置付け、定期検査に合わせて、2次系配管を数年おきに検査することを決めた。