朝日新聞社説 主婦の年金―また不公平にするのか : asahi.com(朝日新聞社):社説

 サラリーマンの妻で専業主婦は「第3号被保険者」として、自ら保険料を払わなくても年金が受けとれる。ただし、夫が脱サラして起業したりした場合は「1号」となり、本人が届け出をして、国民年金の保険料を払わないといけない。
 ところが、届け出をせずに記録上は3号のままの人が、すでに年金を受け始めた世代で約5万3千人、現役世代で42万2千人いる。こうした人たちは年金がもらいすぎとなる。
 これに対し、厚生労働省は昨年、間違った記録をほぼそのまま認めて、年金を支払うことを決めた。
 これでは、まじめに届けを出して保険料を払ってきた人と比べ不公平になる。そう私たちは社説で指摘した。国会などでも強い批判を浴び、今年3月、特別扱いの方針は撤回された。
 いま、臨時国会への提出に向けて、厚労省民主党の間で、この問題に対処する法案の協議が大詰めを迎えている。
 厚労省がまとめた案は、こんな内容だ。
 記録を過去にさかのぼって訂正し、その分の年金は減らす。すでに払い過ぎた分も、時効にかからない過去5年分は、これから払う年金を減らす方法で返還してもらう。
 ただし、特別な条件がついている。すでに払った年金の減額幅は、訂正前の年金額の10%以内とし、それを超えては減らさない。
 ところが、民主党内ではきのう開いた厚生労働部門会議の幹部会で、「払い過ぎた年金分の返還を求めるべきでない」という方針を決めた。厚労省も、これに沿って法案をつくり、来週にも閣議決定する構えだ。

 「負担なくして給付なし」が社会保険の原則である。

 かくして、もめている。
 まあ、もらえる時代は暢気でいいなというのが傍観者的な感想ではあるし、この問題はさしてどうにもならないだろう。
 ただ、身近な利害がきちんと政治に反映されるというのはよいことではある。TPPも、99%がどのようなメリットが得られるが議論されればよいのだが。