日経 春秋

 枕草子に「すさまじきもの」を並べ立てた段がある。「昼ほゆる犬、春の網代、三、四月の紅梅の衣」と続く有名なくだりだ。古語の「すさまじ」は興ざめする様子のこと。昇進の前祝いをしてアテが外れたとき、という例も出てくる。
▼そういう言葉が今は逆の意味になった。ものすごい、凄絶(せいぜつ)な、といったニュアンスだ。現代版の「すさまじきもの」を探すなら、日本がベスト8進出をかけたサッカーのワールドカップ(W杯)パラグアイ戦はその筆頭格に違いない。死闘120分の末のPK戦。テレビの前で悲鳴をあげた人が無数にいただろう。

 悪口みたいで悪いんだが、普通にへたな文章なのにボツにならなかったんだろうか。