読売社説 元秘書2人起訴 鳩山首相の政治責任は重大だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 だが、首相は野党時代、加藤紘一自民党元幹事長や鈴木宗男衆院議員の秘書らが逮捕された際、何度もこう明言していた。
 「秘書の犯罪は議員の責任だ」「私なら議員バッジを外す」
 この言葉が今、自身の進退に向けられていることを、厳粛に受け止める必要がある。
 首相は記者会見で、母親からの巨額の資金提供について「全く承知していなかった」と改めて強調した。首相がいかに裕福な家庭環境で育ったとしても、この説明は信じがたい。
 仮に「故人献金」問題が発覚した6月までは知らなかったとしても、その後、元公設秘書から事情を聞き、弁護士に調査までさせている。計12億円超の資金提供に気づかないことはあり得ない。
 当時は、衆院選が迫っていた。自らの保身と、選挙への悪影響を避けるため、母親からの資金提供を隠していたのなら、国民に対する背信行為である

 メモ。

 鳩山首相は、政治とカネについてクリーンな政治家との印象を持たれてきた。だが、実際は政治資金の管理を元公設秘書に丸投げし、巨額の虚偽記載を見過ごしていた。監督責任は免れない。
 首相は「私腹を肥やしたわけではない。不正な利得も受けていない」と述べた。今回の原資が企業献金でなく、身内からの資金提供なので悪質性は低いとの意見もある。だが、そんなことはない。
 首相は、母親からの資金提供を「贈与」と認め、贈与税を申告する意向を示した。資金提供が発覚しなかったら、6億円以上の納税を逃れていたことになる。
 こうした行為がまかり通れば、まじめに納税しようとする国民の気持ちを踏みにじり、申告納税制度の根幹が揺らぎかねない。
 資産家が巨額の資金を自由に政治団体に繰り入れて使えるようでは、政治活動の公平性が担保されない、との指摘がある。政治資金規正法が個人献金の上限額を定めているのは、こうした観点も踏まえたものと言えよう。

 これはそう。