晴れ

 ぼんやりとした朝。昨晩は、ぼうっとしているうちに奇妙な悲嘆のパニックのようなものに襲われて驚いた。悲しい映画でも見ているような無意識がぐりぐりと動くのだが、意識のほうに悲しみなりの感情に上ってはこない。これはやばいかと思ったが、それでも眠った。夢は見たようだが覚えていない。朝方、あの感情は1Q84を読んだときにもあったなとは思った。それからいくつか感情の根のような事柄にも行き当たった。自分の無力さへの絶望感や過ぎ去った悔恨はある。自分の人生にはなんの意味もなかったというか、それはかねて了解済みだし、私は無として生まれ無として消えていく、それだけのことなのだが、それでも残るものはある。人並みに幸せな半生があったらよかったとも思うが、外観的に不幸な人生でもなく、後半生はいろいろあっても幸せの部類だった。まあ、そういう問題ではないのだろう。