毎日社説 社説:小沢民主代表 やはり世論は厳しかった - 毎日jp(毎日新聞)

 小沢氏の秘書は西松建設からの献金政治団体からの献金と装い、政治資金収支報告書に虚偽記載した容疑で逮捕された。「何らやましいことはない」と断言した小沢氏だが、秘書が西松建設に金額を指定した請求書を送付していたことが判明するなど、説明にほころびも目立ってきた。

 これなんだが、「判明」のレベルなんだろうか。検察側という一方の言い分で事実認定的に書くのはジャーナリズムとは言い難いように思う。これに小沢が答えろと言われても、その話の経緯に含まれる事実が提示されないとどうしようもないのでは。

 民主支持層も4割が代表辞任を求めている。にもかかわらず、党の自浄努力を促す声が党内からあまり起きないのはどうしたことか。小沢氏側の報復怖さに口をつぐんでいるとすれば、情けない。

 「報復」なのか、へぇと思った。その発想はなかった。

2100万円もの献金の出所を「せんさくしない」としたままで国民が理解しないのも当然だ。小沢氏は党幹部に再説明する予定というが、より詳細に経過を語らねばならない。

 いやそれがこの法の限界なのだが。
 参考⇒理解に苦しむこの時期の小沢氏秘書の逮捕元検事・郷原信郎氏インタビュー - インタビューズ - ビデオニュース・ドットコム インターネット放送局

 長崎地検の検事時代に自ら政治資金規正法がらみの捜査に携わった経験を持つ郷原氏は、そもそも政治資金規正法は必ずしも実質的な資金の提供者を寄付者として記載することを要求していないことを指摘する。

 毎日新聞の社説に戻って。

 西松側の政治団体から小沢氏側への献金額は確かに突出しているが、実際は西松からの資金であることを認識していたかが問題の本質だ。当然ながら、与野党に共通した徹底捜査を検察には改めて求めたい。

 「資金であることを認識していたかが問題の本質だ」なら自白に至らしめるしかないだろう。恐怖政治だよ。そうではなくて、この事実をもってすると認識して以外にはありえないというスキームなんだろうが、それは先のとおりそれ自体がこの法の限界なんだ。
 いったい世の中どうなってしまったのだろうか。
 余談だが。
 たとえば、一年半前のニュースだが、「自民・二階派政治団体、収入を記載漏れ 川崎元厚労相の団体も」(2007年9月7日)というのがあった。

 自民党二階派政治団体「新しい波」と川崎二郎厚生労働相資金管理団体「白鳳会」が、都内の政治団体政治資金収支報告書に記載されているパーティー券収入について、記載していなかったことが分かった。二階総務会長は7日の記者会見で「事務的にミスがあった」と述べ、総務省で収支報告書を訂正した。

 額はたいしたことないといえばそうだけど、これなんか政治献金の隠しになるのだけど、後から報告書訂正で終わっている。そういう世界だった。
 しかもこのニュース、「新政治問題研究会」の問題だった。

 準大手ゼネコン元部長が代表だった政治団体新政治問題研究会」(昨年解散)の2005年分収支報告書によると、「新しい波」が同年に開いた3回の政治資金パーティーで、同研究会は計246万円分の券を購入した。

 準大手ゼネコンといってるけど西松建設は明白なので、その元部長というのは、誰もがみんな知っていたことだった。つまり、そういう世界だった。
 で。

 同研究会は白鳳会が04年2月に開いたパーティーで60万円分の券を購入したと記載しているが、白鳳会側には記載がない。川崎事務所は、「おそらく記載ミス」としている。同研究会のパーティー券購入では、森元首相資金管理団体でも記載漏れが判明している。

 「記載漏れ」で済む話だった。
 今回の小沢のケースでいえば、企業献金だというなら、行政処分で、小沢と民主党が話あって、党献金に記載変更すればすむだけのことだ。
 西松が利益誘導したというスキームで追求しても、この話の枠組みでは、小沢の団体か党団体かの差しかでないのだから、形式上は小沢の支出に党であった場合の個人的な偏向があったかしかわからない。
 昨日のエントリのぶこめで、もとから賄賂のスキームで検察が追っているのはあたりまえでしょ、とかいうのがあったが、それはそうなった時点の問題だし、利益誘導とかも別のスキームの問題。
 ただ、話のごたごたした流れと、結局「請求書」で「しらばっくれおろう!」みたいな話になるというのは、検察の大きなスキームがすでに破綻している兆候ではないのか。
 率直に言うけど、小沢なんかすっこむべきだと思うよ。ただ、どうすっこませるかが民主党に問われているわけだし、この検察とジャーナリズムのスキームで、検察様の「正義」が通れば、先の二階の例でもそうだけど、いつでも検察様の自由で自民党は崩壊できることになる。
 というか、それはむちゃくちゃでしょということでこの法の限界があるはずだった。
 
追記
 池信先生⇒迂回献金と「逆国策捜査」 - 池田信夫 blog

問題の核心は、今回のような迂回献金は日常茶飯事だということなのだ。

 ほんと、それだけのことなんだけど。

今回はたまたま西松建設の家宅捜索で数人の政治家だけが特定できたために、小型の事件として強制捜査に踏み切ったが、もっと大手のゼネコンだったら日歯連のように収拾がつかず、見送られていたかもしれない。逆にいうと、西松建設のように別件逮捕して家宅捜索するという手法で大手ゼネコンを検察が摘発すれば、迂回献金は山ほど出てくるだろう。

 実際には、いわゆる田中派的な土建レベルの部分は、談合壊滅で2006年以降はもうほとんどない。今回の西松建設バカ騒ぎも実はいまさらほじくり返しているだけのことで、今となってはけっこうどうでもいいこと。というか、どうでもよくない問題を改善したほうがよいのに。