この手の報道で微妙な部分(特に標題)

 ⇒NHKニュース 破門解いた神父 ガス室否定

ローマ法王、ベネディクト16世が先月破門を解いた神父が、ナチス強制収容所ガス室ユダヤ人が殺されたことを否定していたことがわかり、ドイツのメルケル首相が法王に批判的な発言をする異例の事態に発展しています。

ローマ法王、ベネディクト16世は先月23日、ローマ法王庁と教義をめぐって対立している保守派聖職者のグループのメンバーで、1987年に破門された4人の神父に対して、破門を解くことを決めました。ところが、このうちイギリス人のリチャード・ウィリアムソン神父が、去年11月、スウェーデンのテレビとのインタビューで、ナチス強制収容所では20万から30万の人が死亡したかもしれないが、ガス室で殺された人は1人もいない」と話していたことがわかりました。このため、破門を取り消した法王と法王庁に対して、各国の有力な聖職者から強い批判が上がっていました。そして、3日にはドイツのメルケル首相「法王と法王庁は、ホロコーストの否定はあってはならないことと、ユダヤ人社会との良好な関係が必要だということをはっきりさせる必要がある」と述べて、法王に対して異例の批判的な発言をしました。法王庁では、ウィリアムソン神父の問題について、「内部で十分に検証されなかった」と説明し、苦しい立場に追い込まれています。ドイツでは、ナチスの行為を公の場で否定することは犯罪にあたり、検察当局はウィリアムソン神父を捜査対象にしています。

 ⇒CNN.co.jp:ホロコースト否定司教の復権で独首相がバチカンに抗議

ベルリン(CNN) ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の事実を否定した司教をバチカン復権させたことをめぐり、ドイツのメルケル首相は3日、ベルリンで記者会見しローマ法王バチカンは断固として、ホロコーストを否定することはできないと明言すべきだ」と要求した。
 
問題発言を行ったリチャード・ウィリアムソン司教ら超保守派の4人は1988年にバチカンから破門されたが、今年1月になってローマ法王ベネディクト16世が破門を解除した。
 
しかしその数日前にウィリアムソン司教スウェーデンのテレビに出演し、「アドルフ・ヒットラーの意図的な政策として600万人のユダヤ人がガス室に送られたというが、それを否定する強力な歴史的証拠がある。ガス室はなかったとわたしは信じている」と発言した。

 ⇒ローマ教皇、聖ピオ十世会の司教4人破門を撤回 - クリスチャントゥデイ

 ローマ教皇ベネディクト16世は24日、非認可の儀式で聖職に任命されたとして、1988年に前ローマ教皇ヨハネパウロ2世により破門されていた英国人のリチャード・ウィリアムソン司教ら4人の破門を撤回すると発表した。米CNNが伝えた。
 CNNによれば、ウィリアムソン司教は先日スウェーデンのテレビ局に対し、ナチスドイツの収容所で死亡したユダヤ人が20〜30万人はいると認めたものの、ガス室で死んだ者はいないなどと主張していた。イスラエルユダヤ人当局者は教皇の決定に強い不快感を示したという。

 ⇒ホロコースト否認論者の見解 : ホロコースト否認 - Wikipedia

ホロコースト否認論の論者はドイツが第二次大戦前から大戦中にユダヤ人を差別、迫害したこと自体を全否定しているわけではなく、この点については、論者によって幅がある。また、政治的党派も一定ではない。
 
ホロコースト否認論の主要論点は以下の3点である。
 

  • ナチドイツにユダヤ人絶滅の公式政策や意図は確認できない。
  • ナチスユダヤ人を大量殺害するのにガス室を使用していない。
  • 500万から600万というユダヤ人死亡者の数字は無責任な誇張であり、実数ははるかに少ない。

 
具体的な主張には以下のようなものがある。ただし全部のホロコースト否認論者がこれら全ての主張をしているわけではない[7]。

 ⇒「ユダヤ人絶滅政策」の不在 : ホロコースト否認 - Wikipedia

戦後、連合軍がドイツで押収した膨大なドイツ政府文書の中に、ヒトラーもしくは他のドイツ政府指導者が「ユダヤ人絶滅」を決定、命令した文書は、今日に至るまで発見されていない。この文書群の中にはアウシュヴィッツなどに収容したユダヤ人を戦後、ロシアに移住させる計画があったことが明瞭に読み取れる。これは、アウシュヴィッツ等の収容所が建設された目的が、「ユダヤ人絶滅」ではなく、戦後、ソ連を打倒した後に、ユダヤ人をロシアに強制移住させる為の準備であったことを意味しており、「最終的解決」と言う用語も、戦後の強制移住計画を指していたことが明瞭に読みとれる。強制移住計画を人道的にどう判断するかとは別に、「最終的解決」が意味する計画は、「絶滅」ではなかったことは、戦後の通説と一致しない。
 
また、当時のドイツ政府が、「ユダヤ人絶滅」などと言う計画のための予算を全く計上していなかったことが判明している。ドイツは確かにユダヤ人を差別、迫害したが、その状況の下においても、ユダヤ人を虐待したドイツ人を非常にしばしば処罰しており、これは、「ドイツはユダヤ人を絶滅しようとした」とする戦後の通説に反する事実である。

 ⇒ガス室否定 : ホロコースト否認 - Wikipedia

アウシュヴィッツとマイダネクでは青酸ガスを用いたガス室が使用されたとされている。青酸ガスを用いたガス室は、アメリカ合衆国で、実際に死刑の一手段として使用されてきた歴史がある。ところが、その米国の経験では、青酸ガスを用いたガス室は、あらゆる処刑法の中で最も高価な処刑法であり、大量殺人には最も向かない処刑法である。このような方法を「民族絶滅」の手段として選んだとする主張は不合理すぎる。
 
更に、青酸ガスの発生法として、米国ではポット法と呼ばれる希塩酸もしくは希硫酸とシアン化カリウムを反応させる方法が採られているが、アウシュヴィッツやマイダネクでは、パルプなどに青酸ガスを吸着させたツィクロンBを投入する方法が採られたとされている。しかし、ツィクロンBからの青酸ガス遊離は時間がかかり、処刑時間が余りにも長時間に及ぶ筈である。また、ガス室の換気にも長時間が必要となり、余りにも非効率な処刑法となる。このような方法を大量殺人の手段に選んだとする主張は不合理すぎる。
 
トレブリンカ、ソビブール、ベウジェーツ、ヘウムノの4収容所では、「ディーゼル・エンジンによって一酸化炭素を発生するガス室」が存在したとされている。しかし、ディーゼル・エンジンは一酸化炭素をほとんど排出しないことが特徴であり、この話は科学的に不合理である。(ディーゼル・エンジンも、不完全燃焼させれば一酸化炭素を或る程度排出するが、ガソリン・エンジンを使えば、はるかに多くの一酸化炭素が得られるのに、わざわざディーゼル・エンジンを選択する理由は何も無い。)
 
アウシュヴィッツ(ビルケナウを含む)で「処刑用ガス室」として公開されてきた複数の部屋の壁などを化学分析した結果、対照(コントロール)として採取された殺虫用ガス室にからは戦後40年以上を経た1988年においても高濃度のシアン化合物が検出されたのに対し、肝心の「処刑用ガス室」からはほとんど全くシアン化合物が検出されなかった(『ロイヒター・レポート』)。この分析結果は、その後ロイヒター・レポートに批判的な立場から同様の化学分析を追試したポーランドの法医学グループの報告によっても、裏付けられている(ポーランドのグループは分析においてロイヒター・レポートを批判している)。
 
ソ連軍がアウシュヴィッツで押収した膨大なドイツ側文書の中に処刑用ガス室の設計図は結局発見されていない(焼却炉の図面は多数発見されている)。そして、興味深いことに、戦後、ポーランド当局がアウシュヴィッツ(ビルケナウを含む)で処刑用ガス室として公開してきた複数の部屋は、設計図上は、病死者などの死体を安置する死体安置室(Leichenkeller)として設計されていたことが、図面から一目瞭然に読みとれる。このことは、これらの設計図を検証したフランスのガス室肯定側研究者プレサック自身が、はっきり認めている。プレサックは、設計段階と建設後に使用目的が変更されたと言う解釈を述べているが、この仮説には証拠が無い。ドイツが病死者の霊安室として作った地下室などを、戦後、ポーランド共産主義政権が「ガス室」として公開してきた可能性の方が高い。
 
ガス室で殺された死体を病理学者もしくは法医学者が、解剖と化学分析によって証明した医学論文、報告は、存在しない。一酸化炭素による死体を発見したと主張したソ連の文書があるが、ソ連のこの文書には、肝心の医学的記載が無い。また、カチンの森事件で、ソ連が虚偽の法医学報告をしていたことを考えると、肝心の医学的記述が無いこの文書には信用性が無い。また、アウシュヴィッツについては、そうした死体の解剖記録をソ連は提出していない。
 
戦後、語られてきたガス室の目撃証言には相互の矛盾や内容の変遷が多い。収容所に収容されたユダヤ人やレジスタンスの中には、ガス室の存在に否定的な証言をした生存者が実は多数いた。また、自身の証言を後に撤回した証人もいる。
 
ガス室およびツィクロンBはシラミ駆除のために使用されたと主張する者もある。

 ホロコースト否定という場合、「ガス室を否定するとホロコースト否定となるのか」、また、「ユダヤ人絶滅政策の不在がホロコースト否定になるのか」あるいは、それらはそれぞれ単独に扱われるべき問題なのか、とても難しい。
 私は、ユダヤ人絶滅政策の不在論についてはホロコースト否定であり、歴史修正主義だろうと思う。