朝日社説 成人の日―荒海のなかへ船出する君 : asahi.com(朝日新聞社):社説

「ついてないよな。大変な時代におとなになってしまったもんだ」
 成人の日を迎えた君たち若者の胸の中に、こんな思いが膨らんではいないだろうか。

 今の若い人たちがそう思うか、私にはわからない。私としては、今の時代はそれほど大変だとは思わない。戦争にしょっぴかれるわけでもなく、餓死するわけでもない。下放もされない。いい時代だと思う。ただ、そういう話でもないだろうというのもわかるが。

 今年はちょうどいいチャンスだ。衆議院の選挙がある。
 選挙は世の中を動かすきっかけとなる。
 とりわけ今回は日本の政治の姿が大変わりする可能性があるのだ。

 欺瞞でしょ。と言って、それがどのように欺瞞であるかを書くのもうっとうしい。六全協、そして60年安保が終わったとき、日本の革命は終わった、まあ、そうも言えばいえるていどか。しかし、あの運動の先にあったのはキューバのような命運でもあっただろう。戦後とその逆コースの歴史を日本は繁栄のなかで見失い、そして取り残された残された左翼は冷戦のピエロ踊りを続けている。そしてそれが老人惚けと若者のルサンチマンとして生息している現況を見ると、まさに戦後の歴史の意味はなんだったのかと思う。率直にいえば、銃をとらない市民はないし、銃でなくても礫を握らない市民はありえないという歴史が日本か払拭されたということだ。政治性はボケとルサンチマンに誘導される。市民が一人で立ち上げれない状況こそが政治的な圧政の証拠だろうし、そうした政治権力はなにも現況の政府にあるわけでもない。

 傍観者のままでいると、若者が抱える問題は置き去りにされかねない。
 楽に暮らせる時代ではないからこそ、だまっていてはいけない。
 せっかくおとなになったのだ。ちょっと投票所に行ってみよう。若者の一票一票を積み上げてみよう。
 荒海に乗り出す船は、若いこぎ手を求めている。

 ふざけんなよ爺と思う。そういう己がもはや爺だが。