森達也のこれ

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 個々の意見については、極東ブログでこれまで書いてきたのを偏見なく読んでいただければ私が森と似た考えを持っていることは理解していただけるのだろうけど。
 ただ。
 ⇒極東ブログ: 下山事件的なものの懸念

 近年この事件が顧みられたのは、森達也の「下山事件・シモヤマケース」(参照)がきっかけだろう。当時の報道を見ると、共産党の犯行が示唆される、世間の空気が感じられる。だが、森が改めてこの事件を追っていくと歪曲された目撃証言や事実隠蔽があり、政府首脳や国鉄幹部らの世論誘導があったのではないかというのだ。つまりこの事件はその後日本が反共かつ対米追随路線を取るきっかけとなった、と。森の意図をさらに乱暴に言えば、昨今の北朝鮮脅威論みたいなものはメディアの誘導ではないか、踊らされてはいけない、という主張を込めたかったのだろうと思う。
 ところが森のこの著作のネタとなるべき証言者柴田哲孝が翌年「下山事件―最後の証言」(参照)を著した。これが森の著作を補うようであればいいのだが、そう読める部分もあるにせよ、私が見るかぎり異なったストーリーを展開していた。森の見る、政府側の反共・対米追随路線もだが、当時の国鉄売却の攻防から満州史の亡霊を示唆しているのだ。当然ここに岸の存在が浮かんでくる。
 柴田の著作ではさらに驚くべきことに森達也下山事件・シモヤマケース」の情報誘導まで暴露されており、私はこれまで森達也の著作をある程度信頼して読んできたこともあり、軽い衝撃感を受けた。とりあえず、森達也はボーガスとしていいだろう。

 という経緯で、森達也のスタンス自身に疑問がついて以来、そのまま受け止められなくなっている。
 ためで批判しているとかではなくて、こちらの問題(下山ケース)で、「なるほど森達也はそう考えたのか」と納得できれば、随分変わるのけど。