観客席その2

 承前⇒finalventの日記 - 観客席

 話を戻して。
 池田氏がマンキューに戻ったところで、山形氏の応答がきっとあるでしょう。
 つうわけで、幕間。

 と、次幕を期待したいので、思わぬ展開。
 個人的には、池田氏のマンキューへの指摘あたりを考えみるかな、勉強がてらにという感じ。
 あと、あくまで観客席の一印象なんだけど。
 池田氏のコメント欄の⇒池田信夫 blog
 池田氏コメント。

そして、ここでも明らかなように、彼のいう「賃金水準」は、生産性の高いほうが高い賃金を得るかどうかという「個々の賃金」を問題にしているわけです。ところが私に突っ込まれると、2回目の記事では「いや全体の賃金のことだ」という話になる。Eメールでも、そう書いています。つまり、彼はもともと個々の賃金の話をしていたのに、それがおかしいと追及されたら、全体の賃金だという話に変えたわけです。
 
しかし、この「賃金水準」が全体の賃金だったら、ウェイトレスとプログラマの賃金の差なんて最初から問題にならないのであって、デカ文字の命題はそもそも意味がない。こういうふうに、肝心の概念の定義が事後的に二転三転するようでは、まともな議論は成立しません。

 という「最初から問題にならない」というあたりは、私たちが日常触れている経済学に期待する課題からは捨象されているかなと。
 池田氏バツの悪い言い方をすると⇒Gimの日記 - 池田信夫の勘違い内容がわかった
 話をシフトして。
 Unknown (本澤光威)というかたのコメント。

しかし、例えば産婦人科のお医者さんが過酷な労働で苦労されている問題について、本来市場の機能が有効に働けば「神の見えざる手」によって、問題が解決する方向に働くはずなのに、現実には産婦人科のお医者さんの給与が限界的生産性と乖離していてそういった機能は有効に働いておらず、問題を早急に解決する一つの手段としては、そういった視点がとても重要だと思います。

 こうした問題が私なんかには問題ですね。というかそういう議論に関心を持つ。(経済学プロパーな話なら先のマンキューの理解を先行したい。)
 あと。
 経済学的な理解では、たぶん、私が間違っているのでしょうけど、この方Unknown (Unknown:2007-02-20 02:19:53)さんなんかと似た印象を持つ。

 なんだかもうまったくわからなくなってきたんですが、結局、二人の争いってこんなコトなんじゃないですかね。
 まず、これは俺流勝手経済学ですが、輸入不可能な職種においては、「波及効果」みたいなやつがあるわけですよ。典型的なのがウェイトレス。これは、日本の労働市場を完全に開放しない限り、発展途上国よりは高給なわけです。そして、その原因は、日本経済全体の平均生産性が高いから。逆に言えば、輸入不可能な職種についている限り、グローバル化などどうでもよく、問題は日本社会全体の平均生産性。
 逆に、輸入可能なもの(Tシャツとか)の場合、どこの国でも同じ価格に収斂してしまう。よって、この場合、賃金を決めるのは、その人の生産性であって、その国全体の生産性ではない。
・・・ここまでが正しいとして、
 
輸入不可能なものに関するウェイトを極度に高くとって議論しているのが山形氏。
輸入可能なものに関するウェイトを極度に低くとって議論しているのが池田氏
 
それだけなんじゃないのかなぁ。
なにか、おいら、間違ってますか?

 まあ、ウェイトの比重より、モデルの問題だと思うけど。
 けど、「輸入可能なもの」の問題は大きい、大きいというのは、日本国内の各種の賃金体系に影響を与えているのでしょ、というあたり。
 以上、観客席でありました。