NHKスペシャル アフリカ ゼロ年 4

 NHKに情報がめっからん。
 ⇒NHKスペシャル アフリカ ゼロ年 : TV : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 ほいで、4を見た。
 嘘くさい話だった。
 テーマは南アフリカエイズ問題。話の筋は、アパルトヘイトによって貧困が構造化された南アの貧困層は、米国が主導となる特許権保護のためエイズ薬が入手できず、多くの人々が死んでいく。ということで、ツツ神父まで出して、グローバリゼーションを呪わせていた。WTOならいいのにFTAはひどいというふうでもあった。
 こういうヒューマニズムを装った欺瞞を垂れ流すNHKは問題だと思う。
 エイズ薬だが、完成したとは言い難い。その開発のインセンティブをどうするのかこの番組は答えていなかった。しかも、カクテル療法の場合、耐久性が問題になるのにそれにも触れていなかった。あたかも米国がコピー薬を認知すれば問題は解決するかのようだった。
 アパルトヘイトによる貧困の問題がどうしてエイズに直結するのか説明がなかった。いくつかの事例で、貧しいから女性が身体を売らなくてはならないといった映像だけを流していた。それとこれとは話が違う。
 貧困層はそれ自体で悪ではない。貧困だって生きていければいい。もちろん、それすらできないのだというのはわからないではない。しかし、その場合でも、国家が保護と自由の基盤を作ることが重要だ。
 そして言いにくいことだが、すべての場合とは言わないが、かなりのエイズは防げた。それを妨げたものは貧困であると言えるだろうか。それは、人の意志と、倫理を奪う発想だと思う。
 というか、国家が成り立つこと、人が生きることには、倫理を持つ自由と危険がある。その責務をすべて個人なり国家に持たせるわけにはいかないだろうが、NHKのこの番組はその根幹が間違っていた。その間違いは、人間の尊厳への挑戦だということがわかっていない。
 アフリカ問題は貧しさが原点にあるのではなく、政治が機能しないこと。その政治を機能させない仕組みが問題だ。そして、今となってはエイズがその問題をさらに悪くさせている。それはわかる。しかし、対処はまず政治だ。政治が強い意志となるには、やはり国民性が必要になるのだと思う。その国民性のエートスはなにから生まれるのか。