崩れていく人生…

 というものを、生きていると、なんどか見るようになる。
 自分もそのうちのひとつであろうとも思う。
 だが、人生の光景のなかに現れるのは、率直に言えば、もっと滑稽な色調を持つ。
 たとえば、アル中だ。
 アルコールに溺れて再起できなくなる。
 それを私は救うことなどできない。
 アル中の人を私は弱い人と見るかというと、見る。私より弱い人と見るかというと、そうは思わない。
 私とその人の差異はなんのかよくわからない。
 生まれついたある種の性向といったものかもしれない。
 私は、およそスポーツ観戦に関心をもたない。理由は他者に言うべきこともなくただ自明に関心がない。私がアル中なりにならず、そうした明白な形態で人生を崩していないのは、ただの偶然的な性向にすぎないのだと思う。
 私には誇るべきものはなにもない。
 私には与えられた恵みはあるが、私が起因となって明確になしえた、獲得したものはあるのだろうか。
 ただ…。