社説動向

 読売が一日挙げて日銀の緩和賛成の社説を書いたが書いている人が事態を理解してないのか支離滅裂気味。背景には昨日の朝日新聞社説の大コケがあるように思える。朝日新聞は日銀への忖度を外してしまったのだろう。今日の読売のほうが日銀の思惑に近い。まあ、陰謀論みたいだけど、日銀はメディアコントロールが上手。財務省側がこれをどう見ているかというと、それはそれで妥協でよしとしているのではないか。もう彼らには日本は衆愚としか見えてないだろうから。
 日経がOTCのネット販売を論じていた。司法と行政の側からすればこういうお話になるのだけど、この分野の特殊事情を知らない人が書いているようなので、奇妙な結論にならざるを得ないというか、実態の推移が想定できていない。この問題、識者にはあたりまえの結論しかないはずなのだが、ネットでとんと議論を見かけない。BLOGOSとかになんか議論あるんだろうか。BLOGOSを揶揄する意図はないけど、なんか読むほどの記事あまりないわりに記事が多くて疲れてざっとしか見ない。
 スーダンがひどい状態になっているのだが、日本での議論はみかけないなあ。イランのとき自衛隊派遣で騒いだ人たちはどこに行ったのだろうか。というか、防衛省がなんとか取り繕うとしているなかにであの田中防衛相でなにかできるわけないので、まったく困ったことになった。
 エジプトもやっかいな問題を起こしているがざっと見た感じ報道はない。
 日本の報道ってどうなってんだろうか。メルマガ試作品No.2を書きますかね。

日経 薬ネット販売を禁じた裁量行政への警告  :日本経済新聞

 ああ、社説に出ましたか。
 日経がこの社説を出すということは、社内に専門家がないということだなあ。困ったな。

 規制の根拠について同省は、副作用の危険性が高い薬は薬剤師など資格者が直接、買い手に面と向かって売らなければ健康被害を防ぎきれない、などと説明してきた。高裁判決は服薬時の注意事項や副作用情報を伝える手立てについて、ネットなどを通じた「幅広い方法が考えられる」と、厚労省側の主張を完全に退けた。理にかなった判断といえるだろう。

 これは控訴審判決をなぞっているのだけど、では、「幅広い方法」が何かということ。
 これはOTCのリスク管理ということで、改正薬事法の三分類に依存するのですよ。だから、今回の省令による店舗側での規制が間違いだというなら、三分類に依存したリスク管理の方法が提起されなければならない。でも、原告側はそもそも分類を無視しているのですよ。簡単にいうと司法が医薬品の特性をまったく理解していない。
 これは厚労省側の根回しの不備でもあるんだけど、その意味で、厚労省が劣化してしまったなあという感じ。
 このままぐだぐだになると国民のメリットにならないし、結局ネット販売はぐだぐだになり、その間、副作用事件がヒステリックに発生し、最高裁で常識に戻すというなんか、郵政問題みたいなことになりそう。

産経 【主張】悲惨な交通事故 厳罰の適用拡大で抑止を+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

 これ朝日と同型。朝日が祈り、産経が厳罰。同じなんだよな、この二紙は、日本の右翼と左翼が同じナショナリズムに落ちているように。

読売 郵政改革 もっと便利で頼れる郵便局に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 改正の柱になっているのは、利便性の向上だ。日本郵政グループは、郵便事業会社と郵便局会社を合併して縦割りを解消する。これで配達員も貯金を預かれるようになる。業務の幅を広げ、きめ細かくニーズに対応してほしい。
 全国一律サービスのあり方も課題となる。すでに義務づけられている郵便に加え、貯金と保険の基本的なサービスについても、全国の郵便局で提供する責務が課された。「金融過疎地」を生じさせないことが肝心である。

 うわあ、ひどい社説だなあ。

 完全民営化まで金融2社の「お目付け役」を務める郵政民営化委員会の責任は重い。民間との健全な競争が確保されるよう、しっかり役割を果たしてもらいたい。

 どうするとこれで民営化するのかわけわからない。
 まあ、とはいえ、現状、民主党がめちゃくちゃにしてくれたおかげでこうするしかないでしょと言われればそうかもしれない。

読売 追加金融緩和 政府と日銀は脱デフレを急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 日銀緩和を支持。昨日の朝日社説を見て驚いたのかな。

 日銀は14年度以降「1%に遠からず達する可能性が高い」との見通しも示した。さらに踏み込み、デフレ克服を実現する強い決意を明らかにするべきだ。
 もちろん政府にも、重い責任がある。歴代政権は人口減少や財政赤字などの課題に有効な手を打たず、成長力低下を招いた。デフレ長期化の主因と言える。
 野田内閣が脱デフレに向けた関係閣僚会議を設け、経済構造改革について具体策の検討を開始したことは評価できる。
 日銀の白川方明総裁もオブザーバーで参加している。金融政策だけでなく、財政政策と成長戦略をあわせて議論する必要がある。
 最近、消費税増税に慎重な議員を中心に、日銀に大胆な金融緩和を求める声が強まってきた。「増税よりデフレ退治が先」という主張も、消費税から逃げる方便だとすれば政治の責任放棄だ。

 昨日の朝日新聞のように見事に間違っているこということはないけど、この社説も支離滅裂っぽい。

朝日 社会インフラ―新設から更新へかじを : 朝日新聞デジタル:社説

 1964年の東京五輪をにらんで着工された。既存の道路や川の上空を活用し、300キロの路線の大半を橋やトンネルが占める。このため、補修費がかさみ、日々の点検費を含めると年600億円に達する。
 首都高会社は急いで補修が必要な箇所の手当てに追われ、「計画的に補修する」損傷は10万カ所に近づく。道路自体の架け替えなど大規模更新が避けられないのではないか。こんな問題意識から専門家による検討が始まった。兆円単位の費用が必要、ともささやかれる。
 09年度の国土交通白書は道路や空港、港湾など8分野の公共事業を分析した。維持・更新費は総事業費の半分(10年度)から増えていき、総額が横ばいなら、37年度には維持・更新すらままならなくなる。
 新設どころか、一部の社会資本は利用をあきらめざるをえない、ということだ。

 実態からすれば巨大な公共投資が必要。それが以下の結語になる。

 国交省は、凍結していた高速道路の建設再開や4車線化、整備新幹線の新規着工、ダムの新設など、大型公共事業を次々と打ち出している。問題意識や危機感はないのだろうか。首相もこれに異を唱えないのはどうしたことか。
 経済成長でパイが大きく広がる時代はとうに過ぎた。早く頭を切りかえないと、後世に大きなツケを残す。

 朝日としては、新規事業はやめてメンテナンスに少ないカネをかけろということなだろうか。
 しかし、公共投資という意味では同等ともいえないこともない。というか、まずその路線から考えたほうがよいし、朝日はすっかり忘れているようだが、東北の復興を優先しないと。

51 : Lesson

復習

We are now emphasizing the relationships among the first fifty of the ideas we have covered, and the cohesiveness of the thought system to which they are leading you.

 "the cohesiveness of the thought system"がおどろいた。率直なところTextのくだくだした展開はある種の精神病理と関係しているのではないかと疑問があったが、ワプニクが指摘するようにあれは意図的なものなんだろう。我々の側が"the cohesiveness of the thought system"を必要としているのだ。
 というわけで、Textにも戻っていかないといけない。というか、acimの壮大さに圧倒され、そして尻込む。

ノート

エジプト情勢

 ⇒Egypt's Brotherhood says army plans cabinet reshuffle | Reuters
 軍と同胞団の亀裂。現状では同胞団の危機意識が先走っているが、おそらくこれはムハンマド・モルシーの失敗を作ろう布石だろう。

サウジとイラン

 ⇒Wary of Iran, Saudis seek progress on Gulf union | Reuters
 中東の重要な軸はここに移っているのだが邦文の情報は見当たらない。
 考えてみれば、イラク戦争も基本的にサウジの代理戦争だったが、米国が矢面に立つことができなくなり、GCCが代替に出て来た。その意味で、イラン戦争時代から基本構図は変わっていない。

中国とスーダン

 ⇒BBC News - South Sudan 'agrees $8bn deal with China'
 南スーダンと中国が何を考えているのかいまひとつわからない。
 中国側としては南スーダンの利権を放棄できないというご事情があるのはわかるが、キール側に振り回されているかそこが見えない。